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もう歌しか聞こえない No.4716 もう歌しか聞こえない サポートカード 配置:シーン 条件:ミスティア3 呪力5 [戦闘フェイズ]常時 自分のリーダーが『ミスティア』でない場合、自分のスペルすべては「命中-1」を得る。 [戦闘フェイズ/攻撃時]常時 使用条件に『ミスティア』を含まない、使用条件のレベル合計がX以上のスペルすべては戦闘を行えない。 (Xは、自分の手札枚数の総数に1を加えた数値に等しい。) 「お前達は今夜から……夜は目が見えなくなるよ」 イラスト:葉庭 考察 命中を下げる永続効果、手札枚数に応じて戦闘を封じる永続効果を持つシーンサポート。 相手がイベントを使わずとも命中が下がる為、イベント使用を迫りやすい。 もっとも、自身の呪力が重いため、呪力に余裕がなければ回避に持ち込む事は難しい。 下効果により、相手の手札枚数に応じて相手のスペルを戦闘不可にする。 手札枚数0ならレベル1以上のスペルが対象になるため、ほぼ全てのスペルが戦闘不可になるに等しい。 レベル0スペルだけは止められないので、黒い春告精や、三妖精3以上が相手の場合は注意が必要。 相手のスペルの戦闘を止める目的で先張りする価値はあるが、サポート破壊耐性などはない。 また、ミラーマッチでは全く機能しない。
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amazonで探す @楽天で #きみにしか聞こえない を探す! 映画 2007.06.16 公式HP wikipedia Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索
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第一章 深夜2時ごろ戦争が起きた 戦争の被災者となった初心者プレイヤー月魔は戦争で狩られたとは知らず怒り狂い、ON狩りをしたルーシー様に反撃を開始した 月魔 > 何でわざわざON狩りするんですか?意味がわかりません >ルーシー様 怒り狂った月魔を見てルーシー様は遂に・・・あれを使う時が来た!! ルーシー様 > え?何?聞こえない >月魔 [ 7月27日 (02 33) ] 月魔 > いやいや、聞こえないじゃなくてこの場合見えないじゃないですかね?とりあえず迷惑なんでやめてください >ルーシー様 ルーシー様 > え?何?見えない >月魔 [ 7月27日 (02 36) ] 月魔 > かかわると面倒くさそうなんでもういいです とりあえずもうON狩りやめてくださいね >ルーシー様 ルーシー様 > 酷いな~月魔君。説明書が読めないめっちゃかわいそうな君にそんな事を言われちゃうと傷ついちゃうよ。ふひひ...まずは何故ON狩りをされたか考えようぜ。話はそれからだ >月魔 月魔はどんどん怒り狂ってゆく それをみていたドMことるいすしきは仲裁を加えた るいすしき > とりあえず状況は把握してます おそらく戦争のため攻撃されたのではないかと思われます ON攻について抗議するのは、同じ行為が何度も続いた時に限定した方が良いと思います >月魔 遊び過ぎたな。俺も面白い反応をくれたあの子にお金を恵んでやるか 7月27日 (02 41) ルーシー様 が月魔に30000000000Gを渡した。 煽られている相手から突然無言で大金投げられたらどんな反応するだろwww 物事何でも速攻解決!金で! 月魔 > そうですか戦争中とはしりませんでした><ありがとうございます!! >るいすしき [ 7月27日 (02 45) ] 月魔 > とりあえず戦争中だったということを聞きました、その件に関してはお詫びしますすいませんでした。しかしそちらも言い方というのを考えてください。話はそれからですね >ルーシー様 温度差が違いすぎるwwww ルーシー様 > まあまあそんなに暑くなるなよ。チェリーボーイ君。いきなりつっかかってきたのはユーじゃないかYO☆。この札束で汗を拭きたまえ >月魔 [ 7月27日 (02 51) るいすしき > 最近戦争頻繁に起こっているので、似たようなケースがよく怒ってるんです ドンマイです あと、ルーシー様のアレはネタなのでお気になさらず ここはネタ好きな人が多いので、本気で相手すると堪忍袋の緒がいくつあっても足りないですよ~ >月魔 月魔 > そうですか><気をつけます>< >るいすしき 可愛い子ですね^q^ 月魔 > まあいきなり突っかかったのはすいませんでした。とりあえず汗拭かせてもらいますw ちなみにチェリーではないのであしからず >ルーシー様 [ 7月27日 (02 54) ] 童貞じゃ...ない...だと!!! ( ´゚д゚`) 月魔 > EBについてはチェリーですねw >ルーシー様 ルーシー様 > お、言動からして童貞かと思ってしまった。ふひひ...さーせん。とりあえず今から月魔君の甘酸っぱい初体験の話をwksk聞かせて貰おうか。此処はチェリーの粗チン共が多いから話題に飢えてるんだよ。ちなみに私のアイコンでしこっていいのよ >月魔 まさに意味不 ルーシー様 > ほうほう。EBは処女なのか。ではEBSで困った事があれば闇風tんk君の元に行くがいい。私が紹介したと言えば下の世話までしてくれるさ >月魔 俺なんていい人wwwwwwwwwwww 月魔 > 俺の体験談聞いたって何も面白くないでしょw いやそのアイコンがおちょくってるみたいでカチンとくるのでやめときますw >ルーシー様 闇 さすが、神アイコン る 流石ウサギさんwwwwwwwwwwwww ルーシー ほんと神アイコンwwwwwwwwwww 月魔 > ここのEBはちぇりーですねw わかりましたww >ルーシー様 ルーシー様 > 人を顔で判断しちゃだめだとうちのじっちゃが言ってた >月魔 そう、男はハートで勝負です 月魔 > 確かにそうですね・・・これからは見た目で判断します! >ルーシー様 ルーシー様 > そんな...見た眼で人を判断するとなると・・・私のような絶世の美男子とは付き合えませんよ。かの有名なブラピは私のパシリです。そんな私をしこってもいいのよ >月魔 月魔 > 絶世の美女ならいいけど・・・いくら美でも男子はお断りですねw おかずになりません>< >ルーシー様 ルーシー様 > それは残念。だがもしこっちの世界に興味がでたら何時でも私を訪ねてくれ。尻の穴(dyqさん)を用意して待っているからね!! >月魔 月魔 > わかりましたw もしそちらにいくことになったら指名させてもらいますw >ルーシー様 dyqさん1名入りましたー(笑) ルーシー様 > うちはいい子が揃っているからきっと満足できるよ。ふひひ...さて、私は眠いから落とすよ。ぐっばーい♪ >月魔 月魔 > ぜひ女の子を揃えてくださいw おやすみなさい! >ルーシー様全くである 3時とは思えないほどのにぎやかな一日であった
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スカイプについて スカイプとは別リンクで紹介した、TeamSpeak2 通称TSと同じ感じのボイチャソフトです。 スカイプはTS2より音質が良くハッキリと聞こえるのでTS2よりさらに意思疎通が楽になると思われます。 欠点は、TS2に比べ動作が少し重いです。 1:1や少数での会話ならさほど気になりませんが、4↑での会議通話になると結構ROの動作に支障をきたす恐れがあります。 基本的にHost(親)の人のPC環境に他の参加メンバーの重さなどが左右されるのでHostでやる人は光回線を強くお勧めします。 導入方法 1.ダウンロードとインストール 「スカイプ」でぐぐればおk 公式サイトにいったら一番最新のVerのクライアントをDLします。 ↓ ダウンロードが完了したら、そのままsetupファイルをクリックしインストール。 基本的に初期のままでおkだと思います ↓ インストールを終えるとスカイプが自動的に立ち上がります。 そのまま初期設定としてアカウント名、パスワードの設定になります。 この辺もメッセとかそんなのと一緒な感じで簡単だ! ↓ 垢&パスの設定が終わると、もうこれで導入は完了です。 あとはGMとか知り合いのIDもしくは登録名をコンタクトに追加するといつでも自由にボイチャができるようになります。 とりあえずこんなかんじだろう!
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このページはこちらに移転しました スカイプ用 作詞/100スレ938 ヘッドセットは使えない ジャックに挿しても使えない 代わりにおしりに挿してみて きっと奇声が聞こえるよ そんなことはどうでもいいけど アナルの処女は大事にね 結局、私のヘッドセット コンデンサマイクだったんだもの ミニプラグからキャノンへと どうやって変換すればいいの ファントム電源 ファントム電源 よんじゅうはちボルトー
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澪には律の声は聞こえなかったが、 律が何かを叫んだというのを感じとった。 澪「律……?」 『私はお前と一緒に居たかったんだ! だから障害者学校になんか行かせなかった! お前と同じ学校で普通の学校生活を送りたかった、 ただそれだけだ!』 澪「でもそれだと周りに迷惑がかかるんだよ、 私が障害者学校に行けば、 それで全て解決することなんだ! 障害者学校に行っても会えなくなるわけじゃないだろ」 『会えなくなる! 澪と同じ学校に行けないのは会えないのと同じだ!』 澪「律、バカなことをいうな! なんでそんなワガママばかり言うんだ!」 『ワガママじゃない! 澪のためでもある! 澪だって唯やムギたちと一緒に居たいだろ!? 同じクラスで勉強して部活だってやりたいだろ!?』 澪「授業なんてろくに受けられないじゃないか、 数学の問題も解けないし、 国語の教科書は読めないし、 化学も物理も世界史も、 律が私の手に書くだけで理解できるわけないだろ? 体育だってずっと見学っていうか なにも見えないからもはや『見学』でもないしな! それに部活も、みんなの演奏も聞こえないし 目が見えないから楽器だって弾けない! 私が目と耳を潰してからまともに練習したことがあったか? 学園祭も出てないし新勧ライブもやってないだろ? 唯や梓だってちゃんと練習やライブしたいと思ってるんだろ? だから私の代わりにベーシストを探せって言ったのに、 お前は『澪の代わりなんていない! HTTのベーシストは澪だけだ! 澪のためにも軽音部はこのままでいく!』 なんて寒いセリフを吐いて、5人だけの軽音部を守ろうとしたな! そんなものを守っても意味ないんだよ、 演奏できないんじゃそれはもう軽音部じゃないの! 唯やムギや梓もそれで困ってたんじゃないのか? お茶だけ飲んで帰る部活はもう軽音部じゃない! 私がこうなってしまった時点で放課後ティータイムは終わってるんだ! 大体その『澪のため』ってのが迷惑なんだよ!!!」 律「……」 澪は今まで思っていたことを全部一方的にぶちまけた。 澪「律の好意を無下にしないようにしてきたけど、 律のゴキゲンを損ねないようにしてきたけど…… 私にも限界がある。 悪いけど、もうこれ以上は無理だ……」 律「……」 澪「……」 律「……」 澪「なんとか言えよ……」 律「……」 澪「何も言うことがないんなら…… 私は旅館に戻って、みんなに謝る。 そして障害者学校に転校することを伝える」 律「……」 澪「……じゃあな、律」 律「……」ガシッ 澪「な、なんだ……?」 『分かったよ、澪。 お前は障害者学校に行け』 澪「律……分かってくれたか」 『でも私はずっとお前と一緒だから』 澪「ああ、学校が違っても、ずっと友達だよ」 『ずっと一緒だ。ずっと一緒。ずっと』 澪「律?」 『一緒だ、学校も』 澪「え……?」 『今まで澪に迷惑をかけてきて悪かったな。 これは私の罪滅しだと思ってくれ』 澪「えっ、律!?」 『一緒の学校に行こうな』 澪の手のひらにそう書き残すと、 律は車道に飛び出した。 ―― ―――― ―――――― 音楽室。 ガチャ 梓「こんにちはー」 唯「おー、あずにゃん久しぶり~」 紬「今お茶淹れるわね」 梓「ムギ先輩のお茶も4日ぶりですね」 唯「京都土産もあるよ! ほらほら」 梓「しば漬け、千枚漬け、すぐき…… なんで漬物ばっかりなんですか!!」 唯「まあまあ、美味しいよ」ぽりぽり 梓「ホントですか……?」ぽりぽり 紬「生八つ橋もあるわよ」 梓「最初からそれを出してくださいよ…… あ、そういえば律先輩が交通事故で入院したって本当ですか」 唯「あー、ほんとほんと。 命に別状はないらしいけど、 両腕を切らなきゃいけないんだって」 梓「えー、そりゃ災難ですね」 紬「それと、実は事故じゃないらしいの。 りっちゃんが自分から車の前に飛び出したって」 梓「え、自殺ですか」 唯「さあ、知らない。 澪ちゃんと一緒にいたらしいけど、 メクラツンボが周りのこと分かるわけないしね」 梓「ところで澪先輩は?」 唯「障害者学校に転校するらしいよ。 りっちゃんも同じとこに行くんだって」 梓「……へえー」 唯「ふふん、あずにゃんが今考えていたことを当ててみせよう」 梓「ど、どうぞ」 唯「『律先輩は澪先輩と同じ学校にいくために わざと轢かれたんじゃないか』……でしょ?」 梓「すごいですね、大体当たりです。 なんで分かったんですか?」 唯「そりゃー分かるよ、 クラスのみんなだってそういう噂してるもんね。 ムギちゃんも私も真っ先にそう思ったし」 梓「で、真相はどうなんですか」 唯「そんなの分かるわけないじゃん」 梓「ですよねー」 唯「でもそれが真実だとしたらさ、 りっちゃんもう腕がないから、 澪ちゃんと一緒にいても意思疎通できないんだよね~、 あははははは、あははははは」 紬「足で手のひらに字を書いたりとか」 唯「それ澪ちゃんが嫌がるでしょ~」 紬「それもそうね」 唯「あははは、澪ちゃんと一緒にいるのに、 もう会話もできないんだから笑えるね、あははは、 ヘソで茶が沸くわ、あはははは」 梓「ヘソで茶が沸くなんて言う女子高生は初めてみました」 唯「いやーでもいい気味だよ。 私たちに障害者の世話を押し付けてた本人が 今度は世話される側になるんだよ? 大爆笑じゃん、あはははは」 梓「……」ぽりぽり 唯「いっそのこと目も耳も潰れてくれたら良かったのに! ていうかもう死んでくれればよかったね! 澪ちゃんも一緒に! 障害者なんてウザいだけだし!」 梓「……」 唯「ねえ、あずにゃんもそう思わない? 障害者なんて死んだほうがいいよね」 梓「はあ……ていうか、 唯先輩は律先輩が嫌いなだけだと思ってたんですが、 障害者そのものも嫌いなんですか?」 唯「うん、障害者嫌い! 障害者なんて社会のゴミじゃん! 生きる価値なし! 私がデスノート拾ったら障害者の名前書きまくるね」 紬「あら、でも唯ちゃん、 澪ちゃんをいじめてたのはりっちゃんに 自分のエゴを気づかせるため…… って言ってなかった?」 唯「そんなの建前に決まってんじゃん。 澪ちゃんがいたときは 堂々と障害者をボコれて楽しかったよ~、あはははは。 いやー、もっと蹴り飛ばしたかったな~」 梓「……」 唯「とにかく障害者なんてゴミだよゴミ。 みんな死んで欲しいね、社会のために」 梓「はあ」 唯「まあいいや、この話これで終わり! 障害者の話なんてしてても不愉快だしね。 ほらあずにゃん、もっとお漬物食べて」 梓「はい」ぽりぽり 紬「そうだ、これからの軽音部はどうするの?」 唯「ちょうど3人だし、スリーピースバンドでいこう」 梓「ギター2人キーボード1人のスリーピースバンドなんて 聞いたことないですよ」ぽりぽりぽり 唯「それはほら、今までになかった感じで」 梓「今までになかった理由を考えましょう」ぽりぽりぽりぽり 唯「うーん、じゃあやっぱり新しい人を入れた方がいいかな」 梓「ま、それが現実的でしょうね」ぽりぽりぽりぽりぽり 唯「よーし、じゃあ明日から、 また新入部員の勧誘活動を始めようか」 紬「そうね、私チラシ作ってくるわ」 唯「うん、お願い」 梓「新入部員か~」ぽりぽりぽりぽりぽりぽり 唯「じゃあ今日はもう帰ろうか」 紬「そうね」 梓「ごちそうさまでした」 唯「帰りにカラオケ行こうよ」 紬「いいわね、行こう行こう」 梓「ムギ先輩、もう演歌メドレーはやめてくださいね」 紬「梓ちゃんだって80年代アイドルメドレーはダメよ」 唯「まーまー、好きなの歌えばいいじゃん。 ほら早く行くよ」 紬「あ、私お手洗い行ってくるから。 先に行っといて」たたっ 唯「はーい」 梓「じゃ行きましょうか、先輩」 唯「そだね」ぽとっ 梓「あれ、唯先輩、なんか落としましたよ……」 唯「!!」さっ 梓「……」 唯「見た……?」 梓「手帳ですか」 唯「うん、手帳……最近使ってるんだ、メモ用に。 憂に言われてさ、『お姉ちゃん忘れっぽいから』って」 梓「あ、そ、そう……ですか」 唯「じゃあ行こう、あずにゃん」 梓「…………」 唯はごまかしていたが、 梓にははっきりと見えていた。 落ちた手帳の表紙に、 「障害者手帳」と記されていたのを。 今までの唯の言動が突然に思い出され、 梓はそこから一歩も動けずにその場に立ち尽くした。 お わ り これでおしまい 池沼ネタは飽きられたみたいなので身障ネタで 先の展開を読まれまくってしまったのが反省点である 戻る
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もう歌しか聞こえない 呪力:4 レベル:ミスティア ミスティア 配置:シーン [起動フェイズ/攻撃時]常時 このターンの間にイベントは使用なかった場合、起動フェイズ終了時、呪力を1点得る。 [充填フェイズ・戦闘フェイズ]常時 自分のリーダーの属性に『人間』が含まれている場合、自分のイベントすべては「追加代償(使用):手札1」を得る。
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放課後、音楽室。 唯「はーあ、結局修学旅行まで澪ちゃんと一緒かー。 まったく勘弁して欲しいよもう」 紬「ほんとよね」 梓「大変ですね、先輩」 澪「……」 律「あ、はは、そんな邪険にするなよ。 友達同士なんだからさ、な?」 唯「もういいよ、聞き飽きたよそれ。 ムギちゃん、お茶~」 紬「ええ、今淹れるわね」 唯「あーあ、やだなー修学旅行。 障害者のおもりなんてやだなー」 律「やめろ、唯」 唯「いいじゃん、どうせ聞こえてないんだし」 律「そういう問題じゃない。 なんでそんなに澪が嫌いになったんだ、友達だろ」 唯「うん、そりゃ澪ちゃんは友達だよ。 ずーっと軽音部で一緒にやってきた仲間だもん、 ねー、ムギちゃん」 紬「ええ、そうね」 律「でも、目と耳が不自由になったくらいで」 唯「はー、そういうことじゃないんだよ、りっちゃん。 りっちゃんは何も分かってないよ」 律「どういうことだよ」 唯「べっつにー。 今まで分からなかったんなら一生分からないかもね。 ムギちゃんお茶まだ~?」 紬「はーい、今入ったわよ~」 唯「わーい」 梓「いただきます」 紬「はい、澪ちゃんも」 澪「……」 澪、お茶だぞ……と澪の手のひらに書いてやる律。 澪「あ、ありがとう、ムギ……」 紬「いえいえ」 唯「ごくごく、うまい!」 梓「今日の紅茶は美味しいですね」 紬「あら、分かる? 葉を変えてみたの」 澪「ごくごく……ぶはぁっ!」 唯「あはははは、澪ちゃん、なに吹き出してんの?」 紬「あらあらあら、もう~」 梓「ぷっ……」 澪「げほげほ、がはっ……」 律「ちょっ、み、澪……」 唯「あははは、きったな~い、あははは」 梓「澪先輩、吐き出すなんて下品ですよ~」 紬「もう、澪ちゃんったら耳と目だけじゃなくて 口まで不自由になっちゃったのかしら?」 唯「あははは」 律「お、おいムギ…… 澪の紅茶に何したんだ!」 紬「あら、私は何もしてないわ」 唯「りっちゃん酷いな~、ムギちゃんを疑うの? と・も・だ・ち・なのに?」 律「っ……」 澪「げほ、げほ……」 紬は澪の手のひらに、指を走らせる。 『澪ちゃん、大丈夫? ごめんね、隠し味をちょっと入れすぎちゃって…… 本当にごめんなさい』 澪「あ、うん……大丈夫だよ、気にしないで…… げほ、げほ」 唯「あはは、隠し味って」 梓「そんな激烈な隠し味なんてないですよ」 唯「あははははは」 律「……」 唯と紬が澪をいじめている、ということを 律は澪に教えていなかった。 澪が障害者になったことで減ってしまった澪の友達を これ以上減らすのは可哀想だったし、 なにより親友にそんなことをされていると知ったら 澪は計り知れないほどのショックを受けると思ったからだ。 唯「ははは、はは……はーあ、飽きたな」 梓「久しぶりに演奏しましょうよ」 唯「えー、でもなー……ベースがなー」ちらっ 紬「ベースの新しい人、入ってくれないかしらねー」 梓「入って欲しいですねー」 律「……」 唯「あーあ…… ベースがいないんじゃバンドになんないなー」 紬「そうよねー」 梓「ベースがいなくなったせいで、 もう何ヶ月もまともに演奏してません」 唯「去年の学園祭にも出られなかったしね~」 紬「あー、その時にはもう澪ちゃんは障害者だったんだっけ」 唯「そうだよー」 律「……」 唯「だいたいさー・・・悪いのりっちゃんじゃーん」 律「くっ・・・」 唯「りっちゃんのせいで澪ちゃんそうなったんだよ?なんで被害者面してるの?」 紬「悲劇のヒロイン面したいのかしらね」 梓「ちょっと、先輩方いいすぎですよーあはは」 澪「・・・?」 唯「りっちゃんが『あんなこと』しなきゃ、澪ちゃんもそんな風にはならなかったんだよ」 律はなにも言い返せなかった。唯たちの言っていることは事実だったから。 すべては自分に責任があることは十二分に自覚していた。 澪が光と音を失ったことも、あの楽しく平和なのんびりとした時間が壊されたことも・・・ すべては律のあの行動に起因していた。 だからこそ、律はせめてもの罪滅しにと澪に優しくしていたのだ。 そのことを唯につかれ、律はもはやどうすることもできなかった。 律は澪をみやる。 澪はなにも知らずニコニコしている。 澪は律を許してくれた。親友だから。 こんな目にあっても私を信頼してくれている。 律は思わず泣いていた。 唯「その時からずーっと障害者のお守りさせられて」 紬「3年に上がってみんな同じクラスになったのは参ったわね」 唯「りっちゃんが先生に頼み込んだんだよね」 律「ああ…… みんな一緒がいいと思って」 紬「いいわけないじゃない」 唯「先生も先生だよ、 りっちゃんのワガママを聞きすぎだよ」 梓「律先輩、先生に対して何か変な手でも使ってるんじゃ?」 律「そ、そんなわけない。ただ誠実に頼んだだけだ」 唯「ふーん……」 梓「どうだか」 澪「……?」 その日の部活は早々に解散となった。 唯は帰り際に澪にかかと落としをぶちかました。 修学旅行当日。 唯「あー、もう修学旅行か」 紬「展開が早いわね」 律「ようみんな、おはよう」 澪「……」 唯「ミドルキック!」 律「させるか!」ガッ 唯「くっ……」 紬「けっきょく澪ちゃんも修学旅行に来ちゃうのね」 律「ああ」 唯「はーあ、障害者と一緒なんてやだなー、やだやだ」 さわ子「はーい、みんな集まってるわねー。 じゃあ班ごとに集まってくださーい。 真鍋さんは先生と一緒の班ね」 和「はい……」 さわ子「じゃあこれから新幹線に乗って京都に行きまーす。 途中で富士山が見えるらしいわよ~」 紬「見えないひともいまーす」 唯「あははははは、あははははは!」 律「おい……」 さわ子「新幹線の中では他の乗客の迷惑にならないように。 ちゃんと先生方の注意をよく聞いてね」 紬「聞こえない人もいまーす」 唯「あははははは、あははははは!」 律「おい!」 唯「なに? うるっさいな。 ほっといてよ」 さわ子「そこ、静かにしなさーい」 澪「……」 新幹線内。 紬「私、新幹線に乗るの初めてなの」 唯「へー、そうなんだ。 金持ちなんだからガンガン乗り回してるもんだと思ってた」 紬「長距離の移動にはいつも自家用ジェットを使ってるの」 唯「豪勢だね」 紬「だから今日新幹線に乗るの楽しみにしてたのよ」 唯「そっかー、夢が叶ってよかったね。 でも障害者がいるせいで台無しだね」 紬「ええ、ホントに」 律「……」 唯「もー、ほんっと迷惑だよね。 邪魔以外の何者でもないよね…… あ、そうだ」 紬「何?」 唯はカバンからノートを取り出し、 白紙のページを開いてそこにペンを走らせた。 紬「何書いてるの?」 唯「誓約書」 紬「誓約書?」 唯「そう! りっちゃんと澪ちゃんが、 修学旅行中に私たちに迷惑をかけないように誓います、 っていう誓約書!」 紬「まあ、いいアイデアね」 唯「……っと、書けた書けた。 じゃありっちゃん、これ読んで、 ここにサインして!」 律「えー…… 修学旅行中、私は唯とムギちゃんに障害者のおもりをさせないことを誓います…… 修学旅行中、私は障害者のせいで唯とムギちゃんの行動を制限させないことを誓います…… なんだこれ」 唯「だから誓約書だよ」 律「ふ、ふざけるなよ! 友達同士でこんなこと……いい加減にしろ!」 唯「まあまあ、最期まで読んでよ」 律「ん……? 田井中律がこの誓約書に同意した場合、 唯とムギちゃんは修学旅行中に澪ちゃんをいじめない、……」 唯「どうかな? りっちゃんにとってもお得な取引だよ」 律「ほ、ほんとに澪をいじめないんだな……?」 唯「うん、もちろん」 紬「まーもともと澪ちゃんには何の恨みもないしね」 律「ん? 何?」 紬「なんでもないわ」 澪「……」 律は誓約書にサインした。 それから唯と紬は、 澪を殴ることも障害者ネタでからかうこともしなくなった。 京都。 さわ子「はーい、みんな揃ってるわね。 じゃあまず金閣寺に行きますよー」 「はーい」 唯「金閣寺って金ぴかなんだよね」 紬「そうやで~、外側に金箔が貼ってあるんやって~」 唯「へー」 さわ子「京都の歴史的建築物をしっかり目に焼き付けて 我が国の文化への理解を深め人生の糧とするように、いいわね」 唯「はーい」 紬「はーい」 律(目に焼き付けられない人もいまーす、 とか言うかと思ったけど…… 誓約書の効果はずっと続くんだな、よかった) 澪「……」 金閣寺。 唯「わっ、ほんとに金ぴかなんだね、あははは」 紬「ええ、そうね」 律「……」 『澪、金閣寺だぞ。金ピカで綺麗だぞー』 澪「そうか、すごいな」 『唯なんて子供みたいにはしゃいでるよ』 澪「はは、容易に想像できるな」 唯「あはははは、金ぴかだ、あははははは」 紬「そうね」 唯「あははははは、あははは……飽きた。 次はどこ行くんだっけ」 紬「北野天満宮よ」 北野天満宮。 唯「あははは、北野天満宮だ、あはははははは」 紬「北野天満宮は勉学の神様を祀っているのよ。 そこらへんにある牛の像を触るとご利益があるって」 唯「ふーん、そうなんだ」ぺたぺた 律「……」 『澪、牛の像に触るとご利益があるって』 澪「ご利益……?」 『ほら、これが牛の像だよ』 澪「へえ……」ぺたぺた さわ子「ほら、早く来なさい真鍋さん」 先生「いやあ、友達と組まずに我々と一緒に班を作るとは」 先生「さすが生徒会長ですね」 和「……」 唯「おみくじやろ、おみくじ」 紬「いいわね」 律「……」 『澪、おみくじだってさ』 澪「おみくじか、いいね」 唯「おみくじくださーい!」 巫女さん「はい、どうぞー」 唯「よし、大吉出すよ大吉」 紬「私だって」 律「よーし、大吉出した奴が一番偉いのな!」 澪「……」 3
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私が『言霊』という単語を知ったのは具合が悪く散々寝込んだ後。 寝すぎで寝れなくなって、暇つぶしに読んでいた本によってだったと思う。 言霊の正確な意味を、その時まだ幼かった私は完全には理解していない。 ただ、言葉には凄い力があるのだ、と感覚的に理解しただけだった。 そんな昔の事を思い出した。 久しぶりにちょっと実家に帰ってきて、懐かしい匂いのする自分の部屋でその本を見つけたから。 古ぼけたハードカバーの本はあの頃より成長した今の自分にも少し重く、ページを捲って見ても少なからず子供が好き好んで見るような文体ではなかった。 子供の頃これを読んだのは、少しでも難しい本を読んで早く寝ようと思ったからだった気がする。 『言霊』 その単語の説明をして黒く踊っている文字を目で追った。 自分はその単語の正確な意味を分かっていないのが分かっていたから、知りたくて読んでいた。 妙に小難しく書かれていた説明文を何度も読み直し頭の中で自分流に租借する。 完全に租借する前に、私はお姉ちゃんに呼ばれたために急いで本を閉じた。 そうだった、忘れ物がないかを確かめに来ただけだった 自分がこの部屋にきた理由を思い出し、本を持っていこうか迷ったけど全部読みきることは無いのだろうと元の場所に戻した。 車の中で待っているはずの姉の元へと駆け出す。遅くなってごめんね、それとお母さん行ってきますと叫びながら私は玄関を開けて外へ出た。 助手席に座ると「さぁ行くぞわが妹よ!」とつい最近聞いたことがあるようなセリフが横から発せられ、 危険なデジャヴュを感じた私は慌ててシートベルトへ手を伸ばした。 だけどシートベルトを締めるより早く、車に乗ると暴走すると有名らしいお姉ちゃんはアクセルをふかして急発進した。 「た、ただいま~」 「ヤッホー! またゆたかをよろしくね! ゆたかもあんまり無理しちゃダメだよ」 帰宅早々、私は小さく、お姉ちゃんは手を横にブンブンと振りながら玄関で叫んだ。 慣れなのか、居候させてもらっていた当初はお邪魔しますと言っていたが今では普通にただいまと言うようになった。 「おかえりゆーちゃん、そしてゆい姉さんもこんちゃー」 黒いタンクトップというラフな格好をしたこなたお姉ちゃんが一本だけ飛び跳ねている髪の毛を揺らしながら玄関まで迎えにきた。 家にいるからか、学校で見る時よりもゆったりしている感じがする。 あとおじさんに挨拶……と思ったけど出てこない。買い物かもしれない。 「ゆい姉さんはお茶でも飲んでく?」 「もっちろーん!……って、いつもなら言うけど今日は遠慮。きよたかさんと会う約束があるのっさー」 ハイテンションジェスチャーを繰り返しながら「じゃあねー」と笑顔で『☆』や『♪』を周りに振りまいて(私にはそう見えた)車に乗り込み帰っていった。 エンジン音を轟かせて車が見えなくなる。相変わらずのゆいお姉ちゃんだけど、あのテンションが少し羨ましい。 「ゆい姉さんは相変わらずだなぁ……ところでゆーちゃん何か飲む? それとも横になる?」 「え?」 「ただいまって言った声に元気なかったからね。気分悪いんじゃないかなって」 「ん、ちょっと酔っちゃって……でも、そんなに酷くないよ」 こなたお姉ちゃんは、私の体調が悪いとすぐに気づく。それも、ゆいお姉ちゃんより早く。 ちゃんと見てくれてるのは嬉しいんだけど、迷惑かけてばっかりだと落ち込んでしまう。 「そかそか。それならいいけど……んじゃ飲み物でも持ってくるからリビングでのんびりしててー」 ペタペタと私よりも少しだけ大きいお姉ちゃんが台所へ向かう。 その背中が、非常に遠く思える。きっと気持ちの問題だと分かっている。 だけどその気持ちは私には見えない。声も聞こえない。 言葉にすれば、何かが変わってしまうから。 それだけの力が『言葉』にはあるから。 絶対に言うつもりはない。 翌日、お姉ちゃんは柊先輩達と遊ぶ約束をしているらしく朝の早いうちに起きていた。 いつものようにラフな格好で遊びに行こうとしているお姉ちゃんの体が妙に左右に揺れている気がして。 「お、お姉ちゃん。なんだかフラフラしてない?」 「いやぁ、ちょっと寝不足みたいで。って、そんなにフラついてる?」 「目に見えてじゃないけど……いつもより歩幅が狭いような気がして」 お姉ちゃんがビックリしてる。何で分かるの?って言われているようで。 どう答えていいか分からない。見ているから、としか言えない。 お姉ちゃんがすぐに私の具合が悪いときに気づくのと同じようなものだと思う。 「ゆーちゃんって洞察力凄いんだねー。探偵なれるよ。バーローとか言ってみて」 「バ、バーロー……?」 「うーん……やっぱ蝶ネクタイとメガネつけたほうがいいのかなぁ」 お姉ちゃんや田村さんと話しているとそういう知識が増えたから、お姉ちゃんが何のアニメの事を言っているのか分かった。 前にお姉ちゃんとちょっとしたアニメの話をしていたらおじさんが複雑そうな表情をしていた。 嬉しいような、困っているような、そんな表情。 ゆきのやつ、怒るだろうなぁって私のお母さんの名前を言っていた。 「それじゃー行ってくるね。夕飯までには帰ってくるつもりだよ」 「分かった。でも、気をつけてね」 お姉ちゃんが玄関を開けると、隙間から蒸し暑い空気が入り込んできた。 うへぇとお姉ちゃんが変な声をあげて、一回こっちへ手を振って外へと出て行く。 一瞬呼び止めそうになった。だけどそれが何でかは認めなくて、言葉を飲み込む。 今日は何をしよう。外に出る気分ではなかった。具合が悪いわけではないけど、気分が重い。胸が痛い。 幸いか、今日は遊ぶ約束をしていなかったからリビングへと行ってテレビをつけた。 そろそろニュース番組が終わる頃で、画面にはここら一帯の天気予報が流れている。 ぼんやりと眺めていて、この地域の上に表示された晴れのち雨マークに気づいた。 お姉ちゃん……傘持って行ってないよね…… 窓を開けて空を見上げる。眩しいぐらいに晴れていて雨が降るとは思えなかった。 ただ……蒸し暑くて気持ち悪い。すぐに窓を閉めて畳に横になった。 怠惰な一日になりそうで、これがもしこなたお姉ちゃんだったらかがみ先輩に叱られてるんだろうなと考えた。 簡単にその光景が想像できてしまって目を閉じる。 意識が暗闇に落ちる感覚が怖くて……でも、すごく落ち着いた。 昼ご飯はカップラーメンだった。おじさんは追い込み作業? らしく食べる時間も早くすぐに部屋に戻って行った。 テレビも面白いのが無くて、出されていた課題を少しでも終わらせようと机に向かう。 分からない問題が多くて、でもおじさんにも聞けないしお姉ちゃんは居ないしで飛ばしていたら空白が多くなってしまった。 お姉ちゃんに聞いても分からないままで空白のときは多いけど……聞くって事をしないだけで落ち着かない。 どこかに似たような例題が無いかなと教科書を見ていると屋根を叩く雨音が聞こえていた。 かと思えば太陽が雲に隠れたみたいで一気に部屋の中が暗くなり始める。 時計を確かめると3時で、そろそろ雨が激しくなるんじゃないかと思ってお姉ちゃんが心配になった。 傘を届けたほうが良かったのかな。 しとしと、ぽつぽつ、ざーざーと。 だんだん雨が強くなってきて、心配になって私は玄関へ向かった。 お姉ちゃんが今何処に居るのかも分かっていないのに、傘を持って玄関を開けた。 「うぁああ! び、びっくりしたぁ。どしたのゆーちゃん、そんなに慌てて……」 「お、お姉ちゃん!?」 開けたら丁度お姉ちゃんが目の前にいて、びしょぬれだった。 走ってきたのか肩を上下させて、肌に張り付いたTシャツを手で引っ張っている。 急いでタオルを持ってくるべきだったのに、前にお姉ちゃんに見せてもらった 田村さんが描いたという本みたいな事を考えてしまった。 一回首を横に振って、お姉ちゃんを家の中に入れる。 「待ってて、タオル取ってくるね!」 「ありがとー」 小さいタオルを一枚、あとそれだけじゃ足りそうになかったから、バスタオルを一枚掴んだ。 玄関に戻ると、お姉ちゃんが長い髪をぎゅうっと握って水を落としていた。 手を、足を、水滴が垂れていく。 普段跳ねている髪の毛もしっとりと落ち着いていた。 じっと見てしまい、それでも普通にタオルを渡す。 「……はい。お姉ちゃんタオル」 バスタオルを渡して、お姉ちゃんが体を拭いている間に私は小さいタオルでお姉ちゃんの頭をがしがしと拭いた。 すぐに水分を吸い込んで冷たくなるタオル。かなり濡れているらしい。 私の方が一段高い場所に居るから、そうされているお姉ちゃんが私を見上げてお礼を言った。 「いやー、大変だったよ。体や髪は重いし、暑いんだか寒いんだか分からないし」 「柊先輩から傘借りなかったの?」 「ん。今日は家じゃなくて外にいたし……雨が降る前に別れたから」 「……どうして? 晩御飯にはまだ時間があるのに」 髪を拭いていた手を止める。 お姉ちゃんの髪が雨で肌に張り付いていて、そっと手を伸ばして肌から剥がした。 触れた表面は少し冷えていたけど、その奥が妙に熱い気がする。 「やっぱ寝不足だと調子でなくて……少し頭痛がしたんだよね」 「だ、だったら早く着替えないと!」 あの時。 お姉ちゃんが出かけるときに、やっぱり呼び止めればよかった。 何となく、体調が良くない事は気づいていたのに。 手を掴んでお姉ちゃんの部屋へと引っ張る。 「ま、待って。まだ完全に拭いてないから床濡れちゃうし」 「私が後で拭くから! それより早く着替えないとダメだよ!」 お姉ちゃんが慌てて靴を脱いで上がった。 リビングだとクーラーがきいているからお姉ちゃんの部屋へ。 座らせて、着替えるように言うと台所へ戻って牛乳をレンジに入れた。 おじさんが何事かと思って見にきたから、お姉ちゃんが雨に打たれて寒そうだからと伝え、私に任せてくださいというと頼むよと部屋に戻った。 レンジが鳴り、牛乳を取り出しお姉ちゃんの部屋へ。着替え中だといけないからちゃんとノック。 入っていいよ~、と間延びした声が中から聞こえて、私はコップ片手に戸を開けた。 着替え終わって体は拭き終わっていたけど髪はまだ濡れていて、タオルで挟んで叩いている。 「はい、熱いかもしれないけど」 「ありがと」 「今はまだ体が冷えてるから体温が分からないけど、もうちょっとしたら体温計持ってくるから。 熱があったら薬飲んで、ゆっくり寝てないとダメだよ」 「お、おー……ゆーちゃんがてきぱきしてる……」 やっぱり寒かったのか、お姉ちゃんはホットミルクが入ったコップを両手で持って鼻をすすった。 濡れたタオルとお姉ちゃんの服を抱えて洗濯機へ持っていこうとするとお姉ちゃんがストップをかけてきた。 「ゆーちゃん、心配しすぎだって。ちょっと具合悪くなったぐらいでそこまでしなくていいよ。看病フラグは嬉しいけど」 「いいの。お姉ちゃんだって私の具合が悪くなったらこれぐらい心配してるもん」 そ、そーかなー? とお姉ちゃんが首をかしげた。 私にはそう思えているからそれでいいの。 自己完結させてタオルと服を抱え、洗濯機へ持っていく。 水分を吸った布は重かったし、私の服も少し濡れたけど何とかなった。 再びお姉ちゃんの部屋に戻ると、タオルを頭の上に乗せたまま携帯を弄っていた。 「お姉ちゃん、寝てないとダメだよ」 心配して言ったのか、それともメールの相手への決してプラスではない感情の所為か。 分からないけど、言い方に刺を含んでいたのはすぐに分かった。 「いや、かがみからメールで。『雨酷いけど大丈夫だったか』ってメール。それに大丈夫って返信してただけ」 大丈夫じゃ、ない。 朝から具合が悪かった。雨に濡れて余計に悪化した。 もし、かがみ先輩が傘を貸してくれていたら悪化しなかったんじゃないか。 今日、遊ぶ約束をしてなかったら悪化しなかったんじゃないか。 自分でもわかっている。酷い解釈だって。 かがみ先輩に悪意はない。あるのは私の方。 でも、感情に蓋が出来ない。出来るのは、その感情を見ないこと。聞かない事だけ。 「そっか。でも……」 「わ、分かってるって。体調管理してなかった自分が悪いし。だから心配しないで」 お姉ちゃんがコップとタオルを床に置いてもぞもぞとベッドに潜り込む。 すでに眠そうに見えるのは寝不足だったからなのか、具合が悪いからなのか。 「今日は私が晩御飯作るから寝てて。お姉ちゃんは食べれる?」 「ちょっ、ゆーちゃん本当に心配しすっ……ぅう、寒い」 「ほら。風邪は引き始めが肝心なんだよ」 「風邪……なのかな。バカは風邪引かないって言うじゃん? あれって風邪を引いてることに気付いてなくて……つまりバカがつくほど鈍感なだけなんじゃないかな? でも夏風邪はバカが引くっていうし……つまりやっぱり私はバカ? かがみによく言われるん――」 いつもより小さい声で、雨の音で消えそうな声で語るお姉ちゃんの唇に人差し指をつけた。 そんな恥ずかしい事、するつもりはなかったんだけど。 「お姉ちゃん、喋らないで」 ただ、ゆっくり休んでって意味だったはずだけどお姉ちゃんは驚きで口を閉じていた。 急に恥ずかしくなってタオルとコップを拾って部屋を出ようとする。 「ねぇ、ゆーちゃん」 しっかりした声で。 心配そうに、私の名前を呼んできた。 「何?」 「なんか悩み事あるならきくよ?」 どうして、そう思うんだろう。 そう口に出そうとして、出なくて。 首を少し傾げた。 「ゆーちゃん……私よりも苦しそうに見える」 「――何もないよ、ありがと。お姉ちゃん」 お姉ちゃんは鋭い。 体調が悪い時、悩み事がある時、すぐに気付く。 でも自分に向けられている好意にはひどく鈍感だと思う。 いっそ、この思考にすらするのも恥ずかしい秘密をさらけ出してしまえば……一瞬だけそんな事を考えた。 その一瞬の間でも、思わず赤面してしてしまうようなシーンを思い描いてしまった。 全部お姉ちゃんや田村さんによって与えられた知識のせいだ。 お姉ちゃんの顔を見ることが出来なくて、部屋を出た。 タオルを再び洗濯機に入れて、コップを洗おうと台所に向かう途中おじさんに会った。 「こなたのやつ、大丈夫か?」 「はい、今は寝てます。今日の晩御飯は私が作りますね」 「ご、ごめんね」 おじさんがすごく申し訳なさそうに頬をかきながら謝ってきた。 忙しいのは仕事をしているからだし、私は自分でお姉ちゃんの看病をしたいからしてるわけで、謝られる要素はどこにもない。 おじさんの仕事は作家だったっけ。 ふと昨日の本を思い出した。本というより、意味があんまり理解できていない言葉を思い出した。 おじさんなら、言葉を扱う職業だから知ってるんじゃないかな。 「おじさん、『言霊』ってどういう意味ですか?」 「んお? こ、言霊……? 言葉には力があるってやつだろ?」 「はい。どんな力があるのかなって」 「うわぁい、難しいな……んーとな」 やっぱり感覚的に理解しているのか、説明するのが難しいのかおじさんが目を閉じて考え込む。 「例えば……良い言葉を発すると良い事が起こって、悪い言葉を発すると悪い事が起こる、とか。 あと、自分の意志をはっきりと声に出して言うことを「言挙げ」って言うんだよ。 で、それが自分の慢心……あ、思い上がりって事な。そうだった場合は悪い結果になる信じられたんだよ」 よく覚えてたなオレー、なんて腕を組んでうんうん頷いている。 「でも、なんでいきなり?」 「実家にあった本に書いてあったけど、意味が完全には理解できなくて気になってたんです」 「ほー……そういうのを調べるっていうのはいい事だぞ」 職業柄言葉に興味を持ってくれることは嬉しいのか、おじさんは笑顔だった。 でも急にはぁとため息をつく。追い込み作業中だったのを思い出したのかもしれない。 トホーと言いつつ自分の部屋へと戻っていくおじさん。背骨が曲がってる。 私はさっきのおじさんの説明を思い出していた。 私は、お姉ちゃんに嫌われては無いと思う。 心配してくれたり可愛がってくれたり、むしろ妹として好かれていると思う。 これは……思い上がりになるのかな。 良い方良い方に考えて、自分の気持ちを言ったら……悪い結果になる。 もちろんそれがこの世の心理じゃないだろうし、例外もある。分かってる。 でも、今の私の気持ちをお姉ちゃんに言ったほうが良いか、良くないか。 そんなの……良くないに決まってる。良い結果なんか望めない。望めるはずが無い。 従姉妹で、妹としか思われてなくて、同性で。 みなみちゃんなら、こういう時どうするんだろうか。 言うのかな、言わないのかな。こんなの相談なんか出来ないけど。 まだ晩御飯の準備には早かったから、体温計を持ってお姉ちゃんの部屋を訪ねた。 もう寝てしまっているらしくて、ノックをしても返事が無かったから起こさないようにゆっくりと戸を開ける。 「お姉ちゃん……?」 もう一度読んでも返事は無い。 そろそろと近づいて顔を覗き込んでも、反応は無い。 私より子供っぽいんじゃないかと思う寝顔だった。 体温計を持ってきたけど、起こして熱を測るのも悪い気がする。 だからと言って寝ているお姉ちゃんを起こさないように熱を測るのも悪い。 しょうがないからベッドの端に体温計を置いた。 お粥を作って、食べてもらうときに測ろう。 じっと寝顔を観賞していたら、急に変な音がした。 音がする方を見ると机の上でお姉ちゃんの携帯が震えていた。 電話かなと思って音を切ろうと携帯を取った瞬間に震えが止まってしまった。 メールだったのかなと、悪いと思いつつ携帯を開く。 『メール着信 かがみ』 慌てて、閉じた。 苦しい。痛い。重い。そんな決して良いとは言えない感情が塊でやってきた。 携帯を元の場所において、もう一度お姉ちゃんの寝顔を覗いた。 私は、この胸の中にある感情の正体を知っている。 でもこの気持ちを言葉に出す事も、思考にすらしないつもりだった。 言葉には力があるとどこかで信じていたから。 言う事によって現実世界に何らかの影響を確実に与えると知っていたから。 そしてそれは……悪い結果だろう、とも。 「……こなた」 お姉、ちゃん。 途切れ途切れで名を呼ばれたお姉ちゃんは、呼ばれたことにすら気づかずあどけない寝顔のまま寝息を立てていた。 それでいいと、私は思っている。 聞かれなくて、聞こえなくていいと思っている。 この気持ちは、一生言うつもりも、心の中で伝えるつもりもないから。 こなたお姉ちゃん、 るよ それは誰にも――――自分にすら聞こえないコエ 続く坂道へ続く コメントフォーム 名前 コメント 誤字を修正しました -- 名無しさん (2007-11-09 03 43 48)
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澪「律……どこ?」 律「ここだよ、澪」ぎゅっ 澪「律ぅ」 澪は視力と聴力を失っていた。 律は毎朝、澪の手を引いて学校へと向かう。 もう澪は白杖を使うことにも慣れていたが 律は「なんか危なっかしい」という理由でそうしている。 澪「最近、ようやく暖かくなってきたな」 律「……」 目も耳も不自由な澪のため、 律は澪の手のひらに指で文字を書くことで 意志疎通をおこなう。 『うん、そうだな』 澪「もう、春なんだな」 『ああ』 澪「今日の気温は昨日よりも2度くらい高くなるよ」 『分かるのか』 澪「なんとなく」 『なんとなく?』 澪「うん、目と耳は利かなくなっちゃったけど、 最近まわりのことが敏感に感じられるようになったんだ。 ある感覚器官が不自由になると その他の感覚が冴えるってのは本当みたいだな」 『澪のそれは感覚器官っていうより 第六感って感じ』 澪「はは、そうかも……」 声と指との会話をしているうちに 二人は学校に到着した。 教室。 「わいわいがやがや」 ガラッ 律「……」 澪「……」 紬「あら、おはようりっちゃん」 律「ああムギ、おはよ」 澪「……」 紬「澪ちゃんと一緒にくるようになってから、 遅刻しなくなったわねりっちゃん」 律「はは、そりゃまあな 紬「……」チラッ 澪「……」 紬「はぁ……」ぷいっ 律「……」 律は澪の手をとり、指で字を書く。 『澪、ムギがおはようって言ってるぞ』 澪「えっ、ああごめん…… おはよう、ムギ」 紬「……」 律「ムギ……」 ガラッ 唯「おはよー」 紬「おはよう唯ちゃん」 唯「ムギちゃんおっはよー!」 律「あ、唯……おはよう」 唯「りっちゃんもおはよー! そして澪ちゃんにはおはようの代わりにローリングソバット!!」ドカッ 澪「ぐぇあ!!」 律「み、澪っ……!」 唯「あははははは、あはははは、澪ちゃん無様~」 紬「ぷっ、うふふふ」 同級生「くすくすくす」 同級生「あははは……」 同級生「今の見た~?」 同級生「ぐぇあ、だって~w」 澪「うう……痛い、痛いよう」 律「澪……」 唯はうずくまる澪のそばにしゃがみ、 澪の手をとった。 『澪ちゃん、毎朝蹴られて大変だね! 目も耳も不自由な澪ちゃんを狙うなんて絶対許せないよ! 犯人には私から注意しとくから!』 澪「……あ、ありがとう、唯」 『立てる? 私に捕まって』 澪「あ、うん……」よろり 唯「あははは、生まれたての馬みたい。 おーい、ムギちゃんも蹴ったり殴ったりしていいよ」 紬「遠慮しとくわ、そんなことしたら 聾と盲がうつっちゃう」 唯「それもそうだね! あはははは」 澪「……」 律「……」 キーンコーンカーンコーン さわ子「はいみんな席について~」 唯「はーい」 さわ子「えーと、今日の連絡事項は特になし…… あ、5時間目のLHRで修学旅行の班決めするから、 スムーズに進めるために 5時間目までにある程度は決めといてね」 律(修学旅行、か……) さわ子「じゃあ今朝のHRはこれで終わり。 今日も一日頑張ってね」 同級生「はーい」 澪「律、さわ子先生の話、なんだって?」 『5時間目に修学旅行の班決めするって』 澪「そっか、もうすぐ修学旅行なんだな」 『うん』 澪「行き先は京都だっけ。 楽しんでこいよ」 『え? なんでそんな他人事みたいに』 澪「私は行かないからさ」 『何言ってんだよ、澪も一緒に行くんだよ』 澪「いいよ、私が行っても迷惑かけるだけだし……」 『そんなことない、私がちゃんとサポートするから! それに唯やムギもいるじゃないか、な』 澪「でも…… 目も見えない耳も聞こえないんじゃ 京都観光なんて……」 『みんなで旅行にいくってことが大事なんだよ、 な、一緒に行こうぜ』 澪「でも……」 『一生に一度の修学旅行なんからさ、な!』ぎゅっ 澪「わ……わかった」 紬「唯ちゃん唯ちゃん、 修学旅行の班、一緒にしない?」 唯「うん、いいよ~。 私もムギちゃんと組むつもりだったし」 紬「ありがとう、唯ちゃん。 確か4人で1班だったわよね。あと2人、どうする?」 唯「どうするも何も…… どーせ澪ちゃんとりっちゃんが入るでしょ」 紬「えっ、澪ちゃんも修学旅行に……?」 唯「うん、行くと思うよ。 澪ちゃんは遠慮するかも知れないけど、 りっちゃんが強引に説得して参加させるでしょ」 紬「あー、そっか」 唯「いい迷惑だよ」 紬「あ、じゃあさ…… りっちゃんと澪ちゃんが私たちと班を組もうって言い出す前に、 私たちは他の人と班組んじゃおうよ」 唯「ダメだよ、そんなの。 そんなことしたら、私たちがクラスの他の人たちから恨まれるよ。 『よくもあんな障害者を押し付けたな!』ってね」 紬「それもそうね……」 唯「私とムギちゃん、りっちゃん、澪ちゃんが ひとまとまりになることで、 澪ちゃんっていう障害者を抱えながらも このクラスは上手く回ってるんだから。 もうそれは仕方ないことだよ、残念だけど」 紬「……どうしてこんなことになっちゃったのかしらね」 唯「りっちゃんのせいでしょ…… あ、授業始まっちゃう」 キーンコーンカーンコーン 授業中。 先生「んーそうここはーそのーあー そういうことでーあるからしてぇー なにがこうでーというのはーそのー」 律は澪の隣の席だ。 授業中には机をくっつけて、 教師の話をかいつまんで 澪の手にそれを指で書いてやる。 もともと澪は物覚えがいいので こんな方法でも授業の内容を理解することができた。 また律も、以前よりも注意深く真剣に 授業を聴くようになったので、 すこしばかり成績が上がっていた。 『~だって、分かった?』 澪「うん、ありがとう……」 唯「ぐーぐー」 紬「……」 昼休み。 澪「……」 律「唯、ムギ、お昼食べようぜ」 紬「はあ……」 唯「……良いよ」 律「お、おう、ありがとう…… ほら澪」 澪「あ、うん」 澪の昼食はもっぱら菓子パンだった。 最初はお弁当を持ってきていたのだが、 ある日そのお弁当に砂が入れられていたのをきっかけに お弁当を持ってこなくなった。 ちなみにその犯人は唯である。 唯「もぐもぐ」 紬「ぱくぱく」 律「な、なんだー二人とも、暗いな~。 もっと楽しく食べようぜ、あはは……」 唯「障害者がいるのに楽しくなんてできないよ。 ねームギちゃん」 紬「そうね~、障害者がいちゃあね」 唯「あーあ、なんで障害者が普通の学校にいるのかな~。 なんで障害者用の学校に行かないのかな~」 紬「そうね~、障害者用の学校に行くべきよね」 唯「なんでかな~、何でだと思う? りっちゃん」 律「っ……おいおい、澪は友達だろ…… そんなこと言うもんじゃないぜ、まったく…… 昔はみんな仲良くしてたじゃないか、はは」 唯「……」 紬「……」 律「ど、どうしたんだよ」 唯「はあ、もういいよ……」 澪「……」 紬「そういえば、澪ちゃんも修学旅行に行くの?」 律「ああ、そうだよ。なあ、澪」ぽん 澪「ん? 何?」 律「……」かきかき 『澪も修学旅行に行くんだよな』 澪「え、ああー…… うん、最初はやめようかと思ったけど…… 行くことにしたんだ」 紬「そのままやめれば良かったのに」 唯「それは無理だよムギちゃん、だって……」 紬「ああ。そうね……」 律「……」 澪「あの……迷惑かけるかも知れないけど、 よろしく……な」 唯「はあ……」 5時間目、LHR。 さわ子「はーいじゃあ4人組つくってー」 わいわいがやがや 同級生「一緒に組も~」 同級生「あ、私も入れて~」 同級生「風子ちゃん、組もうよ」 同級生「あーこっちの班もういっぱいだ」 唯「はあ……」 紬「みんな楽しそうね」 唯「そりゃそうだよ」 律「おいおい、こっちも盛り上がろうぜー、はは」 澪「……」 同級生「よーしこれで4人だねー」 同級生「先生ー班できましたー」 同級生「修学旅行楽しみだね~」 同級生「この班だったら絶対楽しいよ~」 和「あれっ、どこかの班、一人足りないとこない? あの、私どこの班にも入ってないんだけど……あの……」 さわ子「これで班は作れたわね~。 友達いなくてハブられちゃった可哀想な子はいない? いるわけないか~」 和「あの……私、余ったんですが……」 さわ子「えっ? 真鍋さん、ハブられちゃったの? 友達いなくて? 可哀想な子なの?」 和「そ、そこまで言わなくても……」ぐすっ さわ子「ああ、泣かないで泣かないで…… おかしいわね、4人組でぴったりになるはずなんだけど」 和「いや、うちのクラス33人ですから」 さわ子「うん、そこから秋山さんを抜けば32人で ぴったり4で割れるじゃない」 和「……澪も修学旅行に行くらしいんですが」 さわ子「えっ?」 同級生「ざわざわ」 さわ子「ど、どういうことなの? 田井中さん」 律「えっ、どういうことって言われても…… 澪もこのクラスの一員なんだから、 修学旅行に行くのは当然だと思います!」 さわ子「はあ……あのねえ田井中さん、 秋山さんは目も耳も不自由なのよ? そんな人を連れていってどうなるの」 律「先生、それは障害者に対する差別ですよ」 さわ子「差別なんかじゃないわ。 秋山さんを連れて行って、 もしトラブルや事故が起こったらどうなるの? それを防ぐには四六時中秋山さんを見ていなきゃならないのよ。 私たち教員にはそんな余裕はないわ」 律「私がちゃんと澪に付きっきりになるんで大丈夫です! 先生、澪を修学旅行に行かせてください!」 さわ子「でもねえ」 律「お願いします!」 さわ子「……秋山さんは行きたがってるの?」 律「はい、私が聞いたら行きたいって言ってました!」 澪「?」 唯「……」 さわ子「そう……じゃあ、分かったわ。 田井中さんがちゃんと面倒をみるのね?」 律「はいっ」 さわ子「それなら仕方ないわね…… 秋山さんも連れて行って構わないわ。 ただし、なにか起こっても私たち教員じゃ責任を負い切れないわよ」 律「はい! ありがとーさわちゃん!」 唯「はあ……」 紬「……」 和「で、私はどの班に入れば……」 2